上海の今。ロックダウン完全解除はいつ? 618の行方を予想

2022-05-30

上海市は6月1日以降、市内すべての商業施設は正常営業になると発表されています。

ただし市民は、72時間以内に必ず1回のPCR検査が要求されており、

その陰性証明書なければ商業施設に入れないのです。

町内会も自分のところに感染者が出るのを恐れて、

簡単に「どうぞ自由に外出してください」といえないようです。

6月に入っていつ本当の意味の「完全解除」になるか、まだ見守る必要あります。

 

3~5月のロックダウンは、中国経済に大きなダメージを与えました。

その期間、行動が制限された人口数は2億人余になるといわれています。

4月の中国の失業率は6.1%。欧州の6.2%と同等、

アメリカの3.6%を上回るものでした。

とりわけ、若者(16~24歳)の失業率は18.2%と、

欧州(13.9%)やアメリカ(8.6%)を大きく上回っていました。

さらに、4月の小売の伸び率は、欧州が-3.5%、

既に回復途中の米国の5.6%に対して、中国は-11.1%と、

小売でもダメージの大きさがうかがえます。

 

中国の経済学者も、しばらくの間は国内の消費が大きく落ち込むと予想しています。

特にダメージが大きいのは低所得や中間の世帯。対して、生計が給与収入に

あまり依存しない富裕層世帯はそれほどダメージを受けないようです。

実際、天猫等越境EC商品を買うのはこの富裕層世帯が多く、

彼らはプレミアムブランドの購入でもボリュームゾーンとなっています。


そのため、今年の618の夏の通販セールは、二極化が一層進み、

定番のプレミアムブランドが売れて、そうでない商品が落ち込む可能性があります。

結果、これまで急成長してきた中国のローカル化粧品ブランドは勢いに水をさされるかもしれません。

 

李克強首相は5月の後半、中国の各地の経済官僚10万人を集めてオンライン会議を実施しました。

何とか経済活動が止まらないようにハッパをかけていますが、

ロックダウンと経済活動の再開の両立が難しく、舵取りの難しさが伝わってきます。

上海のロックダウンは、当初予想より長引きました。

通常ならば、5月20日あたりには、すでに618の予約販売が始まり、

その盛況ぶりが発表されるのですが、今年は今のところ何も報道がないままです。

今までは予約販売が、だいたい11月のダブルイレブンの半分くらいでしたが、

今年の618は、昨年より厳しい立ち上がりとなっています。

 

上海市の2か月のロックダウンは、給料が払えなくなった

中小企業などの実態も厳しいのですが、一番のダメージは、やはり

人々の「気分」「気持ち」、心理面のダメージと想像されます。

晴れないままの気分で618に迎えても、消費意欲はなかなか湧きあがらず、

上海に限らず、北京や広州なども影響を受けていると思われます。

ライブ販売で人気のオースティンの販売画面にも、「一部の地域には

物流が滞る可能性がある」と注意書きが表示されていたり、

一部の慎重な上海人の中には、「万が一また感染が増えロックダウン

されると、買ったものが届かなくなる」と心配し、今年の618で買う

商品数や金額などを慎重に考えて決める人もいます。

 

天猫で既に618の買い物を始めた弊社の上海スタッフにもヒヤリングしました。

1か月前にJD.COM(京東、というアリババにつぐ2番目の通販大手)から買ったものが今だに届いていないとのこと。

このJD.COM(京東)はトラック運輸においては最強の会社。

それでも1か月前に買ったものがいまだに届いていないのです。

在日のバイヤーが2か月も前に中国に送ったものがいまだに中国現地の顧客に届いて

いないのという話もたくさん聞きます。

ただし、昨日注文したものは早速届いたとのこと。

これは、ロックダウンの最初の頃が一番混乱していて、その時の荷物は

まだ滞っているが、最近のものは順調に動いているということ。

いかにも中国らしいです。

 

昨晩オースティンのライブを見ていた別のスタッフがいうには、

商品はほぼ完売でしたそうです。

図1.jpg

(上図参照:オースティン5月26日の「618」予約完売ライブの完売商品、

CPB洗顔1本480元【125ml1本購入に100ml1本おまけ】

みんな、毎晩オースティンのライブに釘付けになり、618の予約購入をはじめているとのことです。

通年より1~2日ほど618のスタートは遅れているかもしれませんが、

終了日も6月20日に延長したり、アリババの消費者還元の金額は

相当大きくしているなど、とにかく「買ってもらいたい」ということで

購入をプッシュしようとしていることがうかがえます。

微信图片_2022.jpg

(上図参照:オスティンの618予約販売ライブ商品リスト)

 

上海や北京などの主要大都市を中心に日常生活や仕事に影響がで、

物流も滞っている側面もありますが、

中国の大多数の地域は正常に動いているのが現状です。

「厳しいゼロコロナをやっているから、中国全土への感染の蔓延を免れた」

というのが中国政府の言い分もありかとも言えます。

 

天猫で中国の若者に人気のスマートウォッチやスマートバンドをみると

かなり繁盛しているようです。

アップルの天猫旗艦店での個別の商品の売り上げまでは公表されて

ないですが、シャオミやファーウェイなど中国ローカルの有名IT企業

のスマートウォッチの売り上げはやはりかなり凄いです。

化粧品の資生堂のアルティミューンやリバイタルも1つのアイテムで、

1か月で4~6万人の購入があるようです。

サプリメントのSwisseの天猫旗艦店も一番売れる商品が過去1か月

の購入が1万人に達しているとのこと。

 

上海スタッフの中に浙江省出身の社員がいます。

彼女によると、浙江省や江蘇省といった上海周辺の豊かな地域のお友達は、

皆、普通に618の買い物準備をしているようです。上海と違って

何も止まってなかったとはいえ、収入にある程度の影響があったことがあって、

「やはり618の割引時に買っておくべき」と思う人が普段より増えているようです。

さらに、ロックダウンが予想以上の長期に及んでいるため、

「使いたい商品を蓄えておくべき」と思い始める人も増え、

618にまとめ買いをしなきゃと思う人もいるようです。

生活水準が上がり、エスティローダーやアルティミューンのような

海外の高品質な商品を使うのが普通になってしまうと、収入が減って、

気分も晴れなくても、以前のようにとはいかないのが現実です。

 

ダメージを受けた人の中には、日本にいるバイヤーさんもあげられます。

物流が止まり、モノを正常に送れなくなり彼女たちの商売は、

実質止まっていましたが、いずれは少しずつ元に戻るでしょう。

また、中国人観光客の復活は少し先になるかもしれませんが、

日本政府も外国人の入国制限を大きく緩和することを宣言しましたので、

訪日分野でのリベンジ消費も期待できると言えます。

中国の各分野での消費復活の兆候をしっかり見ながら、次に備えて動き出すべきでしょう。

 

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