40万中国人の春節“爆買い”の情報源は?

2015-02-25

2月後半の「春節(旧正月)」に来日した中国人観光客の“爆買い”が話題になっています。これに関連して、弊社へも中国人の購買行動についての問い合せが多く寄せられています。なかには、特に「中国人が日本商品の情報をどこから集めているのか?」といった質問が多いです。

私達は、中国人のほとんどが来日前に、「買物リスト」をもっていることを知っています。

実際、その情報をどう集めたのかについて、日本でスキンケア商品を購入した数人の中国人女性にヒヤリングをして、自分のこれまでの知見と照らし合わせながら、「中国人がどのように日本商品の情報を集めているのか」整理してみました。

以下、中国人女性に人気がある日本のスキンケア商品を例に、中国人が行っている典型的な日本商品購入時の情報収集方法について、述べてみたいと思います。

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■最初のきっかけ

日本商品を知る最初のきっかけは、友人・知人からのクチコミが多いです。しかも、最近ではスマホ上のSNSのひとつ、微信(ウェイシン)という中国版のLINEと呼ばれるサービスからのクチコミが増えています。微信は、今、中国で最も利用者の多いSNSです。エグゼクティブユーザー、つまり頻繁に使っている人はなんと4億人を超えています。

例えば、学校時代の同級生が微信で「日本の某スキンケア商品を使ってみて、とても効果があり、良かった!」と書き込みをして、さらに自分の顔がきれいになった写真も入れて微信にアップすると、それを読んだ人は間違いなく興味を持ちます。

美白に悩む人なら、友人が微信にアップした「美白に効きそうな商品」をみると、自分にももしかしたら効くかもしれないと思い、忘れないようにその情報を微信の「お気に入り」機能に入れて記録しておきます。

■もっと詳細な情報は検索

次によく行うのは、興味をもった商品の検索です。

日本のスキンケア商品が欧米の商品より肌に優しく、同じアジア人の中国人女性によく効くことは、中国人富裕層の女性の間では、よく知られています。友人・知人のクチコミで日本の商品を知ると、こうした人たちのクチコミ情報もみて、さらに興味が深まり、もっと詳細な情報を知りたくなりネットで検索します。もし近いうちに日本へ旅行する予定があれば、気になる商品は「日本のどこの店で買えるのか?」なども検索します。

中国人は商品を検索する時、よく使うのが中国最大の検索サイト「百度(バイドゥ)」です。

検索する時は、まず中国語の商品名で検索します。正規の中国語名がなくても、中国人に人気のある商品なら、すでに何かしらの中国語のニックネームが付けられていることが多いので、それで検索します。中国人にとって覚えやすい簡単な英語名があれば、英語で検索することもあります。しかし、日本語で検索する中国人は、日本語を習得したごく一部の人を除いてほとんどいません。

中国でまだ販売されていない日本商品を百度で検索すると、他の中国人がクチコミサイトなどにアップした日本での購入体験や、中国へ持ち帰り商品を使った際の評価などの情報が出てくることが多いです。また、日本で商品を買って中国に個人輸入している人も多いので、彼らが通販サイトなどに設けたショップのリンクが出てくることも多いです。

以上はいずれも、日本企業が正規に発信した情報ではないので、一番肝心な販売店舗や販売価格の情報がなかったり、情報が古く、商品の最新情報ではなかったりすることはよくあります。

■情報をストック

検索で見つけた情報は忘れないように、その情報のURLを自分の携帯メールに送信して、メールで保存する人は多いです。 

最近では微信を使う人が多いので、スマホで検索した情報を、微信の「お気に入り」機能に記録したり、そこから友人にシェアしたりする人も多くなっています。 

■日本に来た時はスマホをみて商品を捜す

情報を集めたあと日本へ旅行に来て、多くの中国人はスマホにストックした情報を見ながら、ドラッグストアなどをまわって商品を探すことが多いです。皆さんはお気付きかもしれませんが、日本で最近よく見かける、ドラッグストアの店頭でスマホを見ながら商品を探している人は、ほとんどが中国大陸から来た人です。

商品を見つけた時、うれしくて、その商品の写真を撮ってすぐに自分の開設している微信にアップする人もいます。

購入した商品を中国へ持ち帰った後、使ってみて効果がよければ微信や微博(ウェイボー。中国のミニブログです)で、その嬉しさを語る人もいます。そうしたことがSNS上の新しいクチコミとしてさらに広がり、新しい購入者へとつながっていきます。

(中国市場戦略研究所・童)


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★日本企業はもっと上手に情報発信をしましょう!

以上のとおり、中国人の日本商品に関する情報源はクチコミが多く、マス広告の影響を強く受ける日本人とは異なります。このことは弊社の中国人500万人パネルを使ったインターネット調査においても定量的に検証されています。

日本企業が中国人へ自社商品をアピールしたい場合、こうした中国人特有の商品情報の集め方をまず知っておくべきです。

現状、中国では中国人同士の自発的な情報発信によって日本商品の情報が飛び交っていますが、当然ながら、そうした情報は偏っていたり、間違っているものも多いです。従って、日本企業は正しい商品情報を、スピーディーに、もっと積極的に中国人へ発信していく必要があります。最近、弊社が多くの企業様へ、「自社商品の情報を発信する中国語のオフィシャルサイトやSNSの開設」をお薦めしているのは、まさにこれが理由です。

(中国市場戦略研究所・峯岸)

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