中国B2B市場開拓の秘訣

2013-06-05

~情報を掴んだら、すかさず行動を~

中国の新指導部は、「城鎮化」(都市化)を成長戦略の主軸として掲げており、今後、大規模なインフラ整備が内陸で増えていくと思われる。そのことと相まって、技術力の高い日本企業の中国B2B市場への進出が目覚しい。
弊社はこれまでB2B調査のも多く携わってきたが、こうした調査から得た知見を皆さんと共有したい。

●しっかり調査しないと、第一歩から間違えてしまう

中国では、B2Bの分野でも、幅広い国土に広げていくために多くの代理商が介在していたり、販売代金の先払いがあってから製品を届けることもよくある。このように、日本とは、業界の構造も商習慣も異なることがたくさんある。
進出する前には、市場の特徴、日本との違いをきちんと調べる必要がある。また、ありがちな誤解は、中国を1つとして考えている点だ。日本の約25倍と国土が大きく、人口も多いため、上海経済圏・華南経済圏等の経済先進地域と、これからの発展が期待される内陸部とでは、同じ国とは思えないほど状況が違っている。

●適切な調査のためには

(例えば、専門家やキーマンにたどり着き、調査の糸口を見つける)

日本では「~協会調べ」や「総務省統計局」等、多くのデータが『正面から』簡単に手に入れられるが、中国ではかなり事情が違う。例えば業界データは、データが細切れに、統計局、業界協会、研究所に散在しているので、あちらこちらにあり、あの手この手の人脈を伝ってかなり苦労しながら集めるしかない。また、『正面から』申し込んでも入手することは困難であり、効率よく情報を集めるには業界通であるキーマンに教えてもらうのが一番手っ取り早い。ただし、中国は「人脈社会」「関係社会」であり、これから中国に参入していく企業にとって、このようなキーマンをつかむのは容易なことではない。B2Bの分野では、日本企業の名前がそれほど中国で知られていないことが多く、よほど有名でないと相手にもされないのだ。私たちのアプローチ方法のひとつには、業界の論文集を調べたり、展示会やシンポジウム、学会など専門家が集まる場に積極的に出入りしたりして、キーマンにたどり着くという方法などがある。

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【写真】弊社が中国の地方都市で実施したキーパーソン・ヒヤリングの風景

●業界調査は、行動するための調査

こうして糸口を見つければ、データを少しずつ集めることができ、さらに、いわゆる「信用調査」を行い財務や経営等の企業情報を把握したり、代理商等の関係者にヒヤリングを実施してデータの裏付けを取ったりし、少しずつレポートをまとめることができる。日本のクライアントの特徴は、データの完成度にこだわり過ぎ、そこに多大な時間と労力をかけすぎる傾向がある。よいものを作ることを否定はしないが、問題は、中国は変化の速い成長市場である。わずか半年でも、状況は大きく変わるので、早く行動に移して行かないと、せっかく取れた情報もあっという間に過去のデータになりかねない。

ある程度判明すれば、行動に移しても良いのではと考える。専門家やキーマンの人脈を掴んだなら、今後の提携パートナーになるかもしれないと考えて、積極的にコンタクトを取り、直接会って話をはじめるのもよいかもしれない。

●動けそうだったらすかさず行動に移すべき

見込み顧客の情報が掴めたら、すかさずアポ取りして、企業訪問を実現しよう。市場状況などがわかれば次の入札に積極的に参加しよう。業界展示会にも積極的に出展し、中国全土から集まってきた会社を潜在顧客だと思って
積極的にアピールしよう。名刺を集めてその後に1社ずつに電話営業し、アポを取って直接会いに行こう。ここまで積極的に営業活動を展開すれば、中国では顧客企業を獲得して大きなプロジェクトを落札するのも夢ではない。

中国のB2B市場に攻め込むには、まず業界調査をしっかり実施して情報を掴む必要がある。しかし、調査にとどまっているだけではもったいなすぎる。私たちの経験からいえば、実はかなり当たり前のことであるが、特に中国ビジネスの場合、B2B調査は決して目的ではなく、迅速に行動を取るためステップである。

(中国市場戦略研究所 劉恵)

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